中小サービス業の人材育成・能力開発 業種別の傾向と課題(労働政策研究・研修機構)

11月12日に発表された「中小サービス業における人材育成・能力開発―企業・従業員アンケート調査―(独立行政法人労働政策研究・研修機構)」の調査結果によれば、基幹的職種(=サービス提供上、中心的役割を担う最も人数の多い職種)の従業員の育成・能力開発の進め方や課題には、業種別に異なる傾向が見られるとのことです。

(調査対象8業種の内訳:建物サービス業、学習塾、美容業、情報サービス業、葬祭業、自動車整備業、老人福祉サービス業、土木建築サービス業)

1.業種別の育成方法
(1)職場での訓練、座学、自己啓発などの手段を積極的に活用する。→老人福祉業タイプ
(2)職場での訓練や座学といった会社による取組みを特に積極的に活用する。→美容業タイプ
(3)もっぱら職場での訓練によっている。→葬祭業タイプ
(4)自己啓発による部分が大きい。→情報サービス業・土木建築サービス業タイプ
(5)以上いずれの手段もあまり積極的には活用しない。→学習塾タイプ

2.企業が挙げた課題
(1)老人福祉業・美容業「一人前に育ててもすぐやめてしまう」という回答の割合が他の業種の2~3倍。
(2)情報サービス業「従業員が忙しすぎて、教育訓練を受ける時間がない」「外部の教育訓練機関を使うのにコストがかかりすぎる」

3.従業員が挙げた課題
「忙しすぎて、教育訓練を受ける時間がない」「従業員の間に、切磋琢磨して能力を伸ばそうという雰囲気が乏しい」

4.企業側の既存資格・検定への評価
(1)プラスに評価する傾向が強い業種:老人福祉業、土木建築サービス業、自動車整備業、建物サービス業。「専門性に対する意識を高めるのに有効」「対外的に自社の従業員の職業能力をアピールできる」
(2)マイナスに評価する傾向が強い業種:美容業、学習塾、情報サービス業「職業能力のごく一部を証明するにすぎない」

詳細は同機構ウェブサイトにてご覧ください。
http://www.jil.go.jp/institute/research/2010/074.htm

(調査時期:2009年1~3月調査対象:関東地方の都県庁所在地に本社所在する上記8業種の従業員5名以上の企業・法人とそこに勤務する従業員(1社当たり最大2名))