社会保険料について ~決定方法、納付方法など~

 今回は、事業主様からご質問いただくことの多い社会保険料の仕組みについてまとめました。健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は月々の給与額に単純に連動しておらず、困惑されるケースも少なくないようです。各種の手続の際には、社会保険労務士による電子申請をご利用いただくことで時間や労力を大幅に軽減いただけます。お気軽にご相談ください。

 

1.社会保険料の決め方

「標準報酬月額と社会保険料」

 健康保険・厚生年金保険では、被保険者の実際の報酬額をもとに「標準報酬月額」を決定します。「標準報酬月額」は金額帯別に区分されており、健康保険では47等級、厚生年金保険では30等級に分かれています。この「標準報酬月額」に保険料率を乗じて、社会保険料が決められます。

①健康保険の標準報酬月額:
 1級 58,000円 ~ 47級 1,210,000円
②厚生年金保険の標準報酬月額:
 1級 98,000円 ~ 30級  620,000円

「社会保険料率と事業主負担」

 健康保険料率は平成26年3月から埼玉県下、東京都下等では10%弱(介護保険料率を含む場合は約11.7%)、厚生年金保険料率は平成26年8月まで17.12%、9月から17.474%となっています。保険料は事業主と被保険者で折半しますので、事業主側は月々の給与のほか、概ねその14%前後の社会保険料を負担することになります。

「社会保険料を決定する時期」

 社会保険料のもととなる標準報酬月額は、①まず入社時に決定された後、②毎年、所定の期間の実績をもとに見直されます。③給与額などが大幅に変動した場合には、変動後3ヶ月間の平均をもとに見直されます。

①資格取得時決定:5月までの決定は8月まで適用。6月以降決定のときは翌年8月まで適用。
②定時決定:4~6月の報酬を7月に届出、9月から1年間適用。
③随時改定:固定的賃金の変動とともに報酬月額が2等級以上変わるとき。4ヶ月目から適用。
※育休終了後(今後は産休終了後も)に報酬額が下がる場合にも同様に改定されます。

「標準報酬月額の対象となる報酬とは?」

 「報酬」とは名称をとわず、被保険者が労働の対象として受けるすべてのものをいい、現物支給されるものも含みます(都道府県別の時価に換算)。ただし、臨時に受けるものや年3回以下支給の賞与などは含みません。

※対象外となるもの:年3回以下の賞与、大入り袋、見舞金、解雇予告手当、退職金、出張旅費、交際費、慶弔費、制服や作業服など

「標準賞与額と社会保険料」

 1年間に支給される回数が年3回以下の賞与は月々の社会保険料の対象外ですが、賞与額から1,000円未満の端数を切捨てた「標準賞与額」に同じように保険料率を乗じて社会保険料を計算し、事業主と被保険者で折半した額を納付します。こちらも、それぞれ上限が決められています。

①健康保険の標準賞与額の上限:
 保険者毎に4月から翌年3月の累計…540万円
②厚生年金保険の標準報酬月額:
支給1回(同月に2回以上は合算)毎…150万円

「標準賞与額の対象となる賞与とは?」

 名称を問わず、被保険者が労働の対象として受けるもののうち年3回以下支給のもので、標準報酬月額と同様、現物支給のものも含まれます。年4回以上支給の賞与は標準報酬月額の対象となります。また結婚祝い金、大入り袋などは労働の対象とみなされず、対象外です。

2.社会保険料の納付など

「保険料の納付方法」

 事業所の届出によって保険者が計算し、毎月10日頃に前月分を確定し、20日頃に事業所に通知、納期限は月末です。保険料は自動の口座振替などの方法で納付します。
このとき児童手当拠出金も同時に計算され(事業主のみ:厚生年金の標準報酬月額・標準賞与額に拠出率0.15%を乗じた額)、一緒に納付します。

「納付しない場合のペナルティ」

 納付期限までに保険料を納付せず、督促状による指定期限も過ぎると、納付期限の翌日から完納又は財産差押の日の前日までの期間について延滞金(年利14.6%)がかかります。

「社会保険料の免除」

 出産休業や育児休業に関連して事業主、被保険者ともに社会保険料が免除される仕組みがあります。詳しくは当「人事労務トピックス」先月2月号をご覧ください。