社会保険の定時決定と算定基礎届 関連するトピックス

(1)定時決定・算定基礎届とは?

 健康保険と厚生年金保険の被保険者の保険料のもととなる「標準報酬月額」は、実際に受けた報酬に応じて、毎年9月に見直されます。これを「定時決定」といいます。
この見直しのため、各被保険者の毎年4月から6月に受けた報酬額を「算定基礎届」により届け出ます。届出期間は7月1日から10日(平成28年は11日)または指定された日となっています。

 

(2)定時決定の対象となる人は?

 7月1日時点の全被保険者が対象です。
ただし7月から9月までのあいだに「随時改定」「産前産後休業終了時改定」「育児休業等終了時決定」により標準報酬月額が変更される予定の被保険者は対象外です。
また6月1日以降に被保険者となった人は既に次の年の8月までの標準報酬月額が決定されているため、同じく定時決定の対象外です。

 

(3)70歳以上の人に必要な手続きとは?

 ①70歳以上で常時使用され、厚生年金保険の適用除外に該当しない人で、②過去に厚生年金保険の被保険者期間のある人 については、在職老齢年金(在職中の報酬額に応じて、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる仕組み)の対象となります。
このため、別途70歳以上被用者についての算定基礎届を届け出る必要があります。また75歳未満の場合は健康保険被保険者ともなるため、通常の算定基礎届の届け出も必要です(月額変更届、賞与支払届も同様です)。

 

(4)年間平均で算定できるケースとは?

 4月から6月の報酬がほかの月と比べて激しく増減するときで、事業主の申し立てがあり、被保険者本人の同意があるときは、前年7月から1年間の年間報酬の平均額で算定基礎届を提出できます。
具体的には、「通常の方法で届け出るときの標準報酬月額」と「年間平均の標準報酬月額」の間に2等級以上の差があることが条件で、その年の3月までに資格取得した人が対象となります。
届出に当たっては、給与の増減が業務の性質上、例年発生することを具体的に申し立てる必要があります。
詳細はご相談ください。

 

(5)給与計算期間の途中で入社したときは?

 期間の途中で資格取得したことにより、1か月分の給与が支給されないときは、1か月分の給与を除いた月を算定の対象とします。

 

(6)賞与が4回以上支給されていたら?

 前年7月から今年の6月までの間に4回以上、賞与が支払われている場合は、賞与の合計額を12で割った額を各月の報酬額に加算して算定の対象とします。

 

(7)4~6月が無給だったら?

 病気休職などで4月、5月、6月とも無給や低額の休職給の場合は、それまでの標準報酬月額で決定されます。3か月とも支払基礎日数が17日未満(短時間就労者は15日未満)も同様です。

 

(8)現物給与が支払われていたら?

 食事、住宅の現物支給のあるときは、都道府県別に厚生労働大臣が定めた価額を報酬に参入します。
食事や住宅について、一部を被保険者本人が負担しているときは本人負担分を差し引いた額となります(食事の価額の2/3以上が本人負担のときは対象外です。)