会社等、雇用主の行う健康診断のまとめ

 例年、この時期には、会社などが行う義務のある法定健康診断についてのご質問を多くいただきます。
以下、制度の概要や注意事項などをまとめました。
協会けんぽの生活習慣病予防健診など、費用補助の制度も用意されています。ぜひご活用ください。

 

(1)「誰に」実施しなければならないか

 「常時使用する労働者」への実施が義務付けられています。この他に、パートやアルバイト、契約社員など、正社員でない労働者であっても、次の①②のどちらにも該当する人は各種の健康診断を実施しなければなりません。

①契約期間が1年以上(一定の有害業務に従事するときは6ヶ月以上)か、引き続き1年以上雇用されている(またはその予定の)人

②週の所定労働時間数が同じ種類の仕事をする正社員の4分の3以上の人

 

(2)「どんな」健康診断を実施しなければならないか

 「雇入れ時の健康診断」「定期健康診断」が挙げられます。その他、特殊な勤務に就く人には、回数や項目が追加されるなど、特別な健診を受ける必要があります。以下、ご紹介します。

①雇入れ時の健康診断

 雇入れの際、実施します。健診項目は次のとおりで、省略はできません。ただし採用前3ヶ月以内に医師による健康診断を受けた者が診断証明書を提出する場合、その診断項目については実施不要とされます(費用負担も不要です)。

【診断項目】

①既往歴と業務歴の調査 ②自覚症状と他覚症状の有無の検査 ③身長、体重、腹囲、視力と聴力の検査 ④胸部エックス線検査 ⑤血圧の測定 ⑥貧血検査 ⑦肝機能検査 ⑧血中脂質検査 ⑨血糖検査 ⑩尿検査 ⑪心電図検査

②定期健康診断

 特定の業務に従事する人を除き、1年以内毎に1回、実施します。健診項目は雇入れ時の健康診断とほぼ同じです(④胸部エックス線検査に「喀痰検査」が追加されます)が、医師の判断で一部を省略することができます。

③特定業務従事者の健康診断

 深夜業(夜勤)を含む業務など、特定の業務に従事する人に、その業務への配置転換の際と6ヶ月以内毎に1回、実施する義務があります。健診項目は②の定期健診と同じですが、④胸部エックス線検査は年1回の実施で可とされます。また同様に医師の判断で一部を省略することができます。

④その他の健康診断

 上記①~③の他、海外派遣労働者への健診や有害業務に従事する人への健診、給食業務に従事する人への検便などが定められています。