コラム(3)労働時間ルール改革への対応
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07年以降、職場をとりまく法制度は大きな変革が行なわれる予定です。
同年4月の改正男女雇用機会均等法の施行を皮切りに、採用から退職、労働時間・休日、非正社員、社保・雇用保険などについて素案作りが進められています。('06年12月中旬原稿作成時点…雑誌掲載原稿をウェブ用に再編集したものです。)
1.「残業代のない」新制度の創設? < 時間・休日規制の厳格化?
今般話題となっている「労働基準法の改正」はおもに労働時間・休日ルールの改革を目指すものです。
改革の目的には、「自律的に働き、労働時間でなく成果などで評価されるほうがよい従業員のための新制度創設」も謳われていますが、過重労働・サービス残業に対する指導強化や、06年の労働安全衛生法改正などによる健康管理の強化といった昨今の労働基準監督行政の動向も見逃せません。
「労基法改正で残業代がなくなる!」といったように、成果主義的な新制度の創設という切り口で報道されがちな今回の改革ですが、人事労務管理の今後を検討していく上では、規制強化という側面を念頭におく必要がありそうです。
労働者全体が「労働時間の規制を緩和してよいグループ」と「緩和しないグループ」に区別された上で、時間・休日の規制は全体として厳格化される。法改正作業の対立は程度の問題に過ぎない。今回の一連の動きは、そんな風に捉えることもできるのではないでしょうか。
(※筆者注・・・1月下旬現在、規制緩和部分については見送りが濃厚です。)
2.「基準時間を目安に」「超過勤務の目的・期間・代償が明確化された」管理体制を
「時間・休日に関する規制」への対応に注目しますと、今後の人事労務管理には
@ 健康障害のリスクに配慮し、休ませられること
A 時間と仕事内容に応じ、正当な賃金が支払われること
が求められる、という至極まっとうな解が導き出されることになります。
教育訓練からくる長時間勤務や、納期前、繁忙期など、一律的な時間短縮が難しい局面も考えられます。人材育成と繁忙期対応という業務上の必要性と、健康管理の確保の両立を目指し、
1.健康障害との因果関係を参考に、基準となる勤務時間数を設定し
2.長時間勤務が見込まれる業務の目的・期間と代償方法を明らかにして
3.2.に応じ、無理のない人員を配置できるよう、人材登用や職務分掌にとりくむ
必要があると言えそうです。
3.判断基準とすべき労働時間数 45、80、100
昨今の長時間労働に対する指導強化は、そもそも「過労死問題」からスタートしており、「睡眠時間の減少=脳・心臓疾患のリスク増加」という医学的な見地をもとに、規制の基準時間数などを設定しています。
(過重労働・メンタルヘルス対策のあり方に係る検討会第1回議事録00/4/28)
| 超過/日 | 超過/月※ | 睡眠時間 | 脳・心臓疾患のリスク |
|---|---|---|---|
| 2〜2.5時間 | 45時間 | 7〜8時間 | 因果関係はほとんど見られない。 健康への影響は少ない |
| 4時間 | 80時間 | 6時間 | 睡眠時間が6時間をきると発症例が増えてくる。 |
| 5時間 | 100時間 | 5時間 | 増加する。 |
長時間勤務があらかじめ見込まれる業務については、ОJT、当直など、目的と期間を定めて「通常と異なるレートの時給単価設定」「変形休日制と年休を活用した代償休日取得促進」フレックスタイム制、裁量労働制、シフト制、2交替・3交替勤務など「変形労働時間制の期間限定の活用」などの方策を実施します。
実施に当たっては、必要事項を就業規則に記載し、協定を締結・届出るほか、マニュアルや勤務表、各種申請フローを用意し、イレギュラーな取扱について共通理解を深めていく必要があります。
4.人材登用や職務分掌における対応
この他、無理なく人員を配置できるよう、役割、責任、担当業務の分担を明確化し、必要に応じて非正社員・派遣社員など流動的な人材を活用します。
流動的な人材の活用にあたっては、就職希望者などをインターン的に活用し、人材登用していく方法も考えられます。
ここでも、3後段と同様のルールの明確化は必須条件となるでしょう。
流動的人材の活用にあたっては、業務や責任の内容に応じて、正社員とバランスのとれた処遇決定に留意する必要があります。(了)
(本稿は、『近代中小企業』'07年1月号からの短期連載原稿を再編集したもので、中小規模事業所を想定して書かれています。)
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