介護休業等の要件について

 従業員が介護休業等の制度を利用する場合、対象となる家族が「要介護状態」にあることが前提です。
 昨今、介護休業に関する問い合わせをいただくことが増えてきました。
 以下、判断に困ることの多い「介護休業の要件」について、概要をまとめました。

 

(1)対象となる家族について

 介護休業等の「対象となる家族」には、「配偶者(事実婚を含む)、父母、子、祖父母、孫、兄弟姉妹、配偶者の父母」が含まれます。

 

(2)要介護状態について

 「要介護状態」とは、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり『常時介護を必要とする状態』」を言います。
さらに『常時介護を必要とする状態』とは、以下のアまたはイのいずれかに該当する状態であることを言います。

(ア)介護保険の要介護状態区分において要介護2以上であること

(イ)所定の12項目※ について、一定の基準に該当し、かつ、その状態が継続すると認められること

※ 所定12項目の内訳は「座位・歩行・移乗・水分、食事摂取・排泄・衣類の着脱・意思の伝達・外出すると戻れない・物を壊したり衣服を破くことがある・周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがある・薬の内服・日常の意思決定」。
 詳細は厚労省のウェブサイトの「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」でご覧いただけます。

 「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」については、介護している従業員の個々の事情に合わせて、仕事と介護が両立できるよう、事業主が柔軟に運用することが求められています。

 

(3)要介護状態にあることの証明について

 事業主は、従業員から介護休業の申出を受けた場合、対象家族が要介護状態にあること等を証明する書類の提出を求めることができます(医師の診断書等の制約はなく、事実を証明できるもので従業員が提出できるものとします)。
ただし、書類が提出されないことをもって休業させないということはできません。

 

(4)介護休業申出書について

 実務的には、従業員は「介護休業申出書」などに理由や状況を記載して、制度の利用を申し出ることとされています。
「介護休業申出書」は雇用保険の介護休業給付金申請の際にも添付が必要です。
様式は通常、「育児介護休業規程」作成時に同時に作成します。また厚労省のウェブサイトなどで配布していますので、ダウンロードしてご利用ください。