5月以降の雇用保険手続きとマイナンバー 省略できるケースも(厚労省)

 厚労省は4月23日、3月から公表している雇用保険手続きに関するマイナンバーの取扱いについて、リーフレット「雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの記載をお願いします。」を更新しました。
 4月11日には関連するQ&Aも公開しています。

 今回は雇用保険に関するマイナンバー記入徹底の動きと、マイナンバーを記入できない場合の取扱いについて、通知と資料を中心にご紹介します。

 

(1)マイナンバーの記入義務について

 マイナンバー制度では、税・社会保険などの手続きにおいて届出様式への記入義務が課せられているものの、罰則は定められていません。

 またマイナンバー保有者自身には提出義務が課されていません。

 その他、届出を待たず、役所の側でマイナンバーと雇用保険被保険者番号、基礎年金番号それぞれを紐づける作業が進んでいたためか、実務上、マイナンバーの記入は徹底されていなかったという経緯があります。

 

(2)5月からの雇用保険手続とマイナンバーについて

 3月以降の一連の通知によれば、5月井以降、雇用保険の「被保険者資格取得届」「被保険者資格喪失届」「雇用継続給付(高年齢・育児休業・介護休業) 受給資格確認票・給付申請書」にマイナンバーの記載がない場合、返戻するとのことです。

 また「育児休業・高年齢」の雇用継続給付の申請や「被保険者転勤届」「雇用継続交流採用終了届」について、マイナンバーを未届の場合は、「個人番号登録・変更届」を提出するよう求めています。

 こちらも、「個人番号登録・変更届」によるマイナンバーの提出がなければ届出書を返戻するとのことです。

 

(3)マイナンバーを既に届出済みの記載方法

 既にマイナンバーを届け出済みの被保険者について届け出る場合、様式の欄外に「マイナンバー届け出済み」と記載することで、マイナンバー記載を省略可とのことです。

 ただし、事業所で初めて「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する際は記入必須とのことです。

 

(4)マイナンバーを個人番号登録・変更届で別途、届け出る場合の記載方法

 事業所内のマイナンバー管理の都合などで様式への記載がむずかしい場合は、届出の際または事前に、「個人番号登録・変更届」でマイナンバーを届け出ることができるとのことです。
この場合も様式の欄外に「マイナンバー届け出済み」と記載して様式への記入を省力可とのことです。

 

(5)マイナンバーの届け出が手続きの後になる事情のあるときの記載方法

 前述の(4)のようなケースで、新規に被保険者資格を取得するため被保険者番号が振り出されていないときには、「個人番号登録・変更届」を事前または同時に提出できないため、「マイナンバー別途届出(平成○年〇月○日頃)」と記載して届け出るように、とのことです。

 その他、マイナンバーの届け出が手続きの後になる場合も同様に記載することとされています。

 

(6)「届出済み」でないにもかかわらず省略したときの対応

 様式の欄外に「マイナンバー届け出済み」と記載し、マイナンバー記載を省略して届け出たものの、実際にはマイナンバーが届け出られていなかった場合には、届出を返戻するとのことです。

 

(7)「別途届出(平成○年〇月○日頃)」としたにもかかわらず届け出ないときの対応

 リーフレット、Q&Aともに記載はなく、詳細は5月以降、判明するものと見込まれます。

 

(8)本人がマイナンバーの提供を断ったときの記載方法

 今春には政府の委託先による法違反の案件が発生したこともあり、本人がマイナンバーの提供を拒否するケースも増えるものと思われます。

 マイナンバーの提供を拒否された場合には、「その旨を申し出ていただいた上で受理することとしており、マイナンバーの記載がないことをもってハローワークが雇用保険の手続きを受理しないということはありません。」としています。

 電子申請の場合には、備考欄等に「『本人事由によりマイナンバー届出不可』の記載をお願いします。」とのことです。

 なお、事業所側はマイナンバーの未記入が単なる義務違反でないことを明確にできるよう、未記入に至った経過を記録に残しておくことが求められています。

 

(9)本人が退職し、マイナンバーを収集できないときの対応

 ハローワークが一定の確認をした上で受理するとしています。「一定の確認」については5月以降明らかになるものと見込まれます。
この場合も、未記入に至った経過の記録が求められています