変形労働時間制入門 ~働き方改革関連法施行を前に~

 労働時間の上限は、原則として1日8時間、1週間40時間です。ただ業種や職種によっては、繁閑の差が激しい等の理由から、この原則に沿った労働時間の管理が難しいケースがあります。

 このため労働基準法では例外の取扱いとして、一定の要件を満たす場合に労働時間を変形させることのできる「4種類の変形労働時間制」を定めています。今回は、この4つの変形労働時間制について、その特徴や、運用上の留意点などをご案内します。今後の勤務体制の編成等のご参考になれば幸いです。

 また政府は現在、来年5月1日と10月22日を来年1回限りの祝日とする方針で(閣議決定済)、前後の所定労働時間数に大きな偏りが発生するケースも想定されます。変形労働時間制は、一定の季節や時期、職種や職場を対象に限定的に導入することも可能です。詳細はご相談ください。

 

ア.はじめに ~「変形労働時間制」とは~

変形労働時間制とは、「一定の期間を平均として1週間40時間以内となること」を条件に、特定の日や週に、原則の1日8時間、週40時間を超えて労働時間を定めることを認める制度です。
変形させた労働時間内の勤務は法律の定める制限時間内の勤務となり、たとえ1日8時間、週40時間を超えたとしても時間外・休日割増賃金は発生しません。
変形労働時間制には次の4種類があります。

 

①1ヶ月単位の変形労働時間制

 4週間や1ヶ月など、1ヶ月以内の一定の期間を平均して週40時間を超えない範囲で、1日8時間、週40時間超の労働時間を定めることができます。
次のような職場での活用が想定されます。

「月や週の特定の時期に業務が集中する」「24時間対応のため夜勤シフトを組む必要がある」など、時間の長さの異なるシフトを組み合わせる必要のある職場

「月2回土曜出勤がある」「連休の週以外の週に勤務日を振り分ける」など、週によって勤務日数の変動する職場

 

②1年単位の変形労働時間制

 3ヶ月、半年、1年など、1ヶ月を超え1年以内の一定の期間を平均して週40時間を超えない範囲で労働時間を変形させ、特定の日や週に1日8時間・週40時間を超えて労働時間を設定することができます。
次のような職場での活用が想定されます。

「長期間の休暇がある」「季節により1日の勤務時間の長さが異なる」など業務の量などに1ヶ月以上の大きな波があり、1ヶ月単位の変形労働時間制によっても週平均労働時間数を40時間以内とすることがむずかしい職場

 

③フレックスタイム制

 4週間、1ヶ月など、1ヶ月以内の一定の期間を平均して週40時間を超えない範囲で各期間中の「総労働時間」を定めておき、労働者がその範囲で各日の始業、終業の時刻を選択する制度です。コアタイムとして、必ず在社しなければならない時間帯を設定することもできます。
次のような職場での活用が想定されます。

「従業員各人の業務量や稼働時間帯が取引先の都合で個別に変動する」「育児・介護などと仕事の両立を必要とする」など、一律に勤務時間帯を特定することが難しい職場

デザイナーや研究職など、本人の裁量に任せたほうが成果の出やすい職場

 

※ 来年4月からの「清算期間の上限延長」

 この「フレックスタイム制」については、「働き方改革」により、来年平成31年4月から、「清算期間」の上限がこれまでの1ヶ月間から3ヶ月間に延長されます。
この見直しにより1ヶ月をまたぐ「清算期間」を定めると、月をまたいだ「総労働時間」の枠内であれば、労働時間が1日8時間、週40時間を超えた場合でも法定時間外割増賃金が発生しません。
来年4月以降は、月またぎで大きな繁閑の差が生じる職場での導入も想定されます。

 ちなみに1ヶ月超の「清算期間」を定める場合、各月の週平均労働時間数が50時間を超える場合は、50時間超の労働時間には各月毎に割増賃金の支払いが必要です。
 また労使協定を締結し、所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。

 

④1週間単位の非定型的変形労働時間制

 1週間単位で1日最長10時間を限度として各日の労働時間を設定することができます。この制度を利用できる事業場は次のとおり限定されています。

労働者数が30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の職場

 

イ.休日の日数にご注意を

 変形労働時間制を導入する場合、1日や週の所定労働時間を短くすると、休日数を少なくすることができますが、この場合であっても、「毎週少なくとも1日」または「特定の4週間を通じて4日以上(変形休日制)」の休日を設定しなければなりません。

 特に「変形休日制」を導入する場合には、就業規則などで4週間の起算日を明示しておく必要があります。(変形労働時間制の起算日等と一致させなくとも問題ありません。)

 また変形労働時間制によっては、「月法定労働時間の制限」や「連続労働日数」「年間換算の労働日数の上限」について留意する必要があります。「1日の所定労働時間数に応じた必要休日数」は次の表をご参照ください。

 

【1日の所定労働時間数に応じた必要休日数】

ウ.1ヶ月超3ヶ月以内の変形期間で弾力的導入も

 1年単位の変形労働時間制では、1ヶ月単位の変形労働時間制に比べ、厳しい要件が設定されています。

 変形期間が長期間におよび、労働者の負担が大きくなるためです。

 このうち、3ヶ月を超える期間を対象とする場合は、規制がさらに強化されています。年間を通して繁閑の予測がつきにくいケースなどでは、あえて1ヶ月超3ヶ月以下の変形期間を設定し、弾力的に運用されることもあるようです。

 規制の差の概要は次の表のとおりです。

 【1年単位の変形労働時間制 期間別要件比較表】

 

エ.完全週休2日とフレックスタイム制(特例)

 清算期間を1ヶ月とするフレックスタイム制を完全週休2日制で運用する場合、暦日数や曜日のめぐりによっては、1日8時間、週40時間で勤務したとしても一定時間に法定時間外労働が発生することがあります。

こういった場合、通達により「週休2日で、かつ29日を起算日とする1週間の実労働時間数が40時間を超えず、1日の労働時間がおおむね8時間以下」等の条件をクリアできていれば、この超過分は時間外労働として扱わない、とされています。
この取り扱いは来年4月の清算期間の上限延長後も法制化され、継続されます。
フレックスタイム制検討のご参考になれば幸いです。

 

来年平成31年4月からは時間外労働の上限規制(中小企業は翌年4月から)や、年休時季指定義務制度もスタートします。

変形労働時間制の導入など、詳細はご相談ください。 (塩澤)

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