今年2019年4月からの「年休時季指定」厚労省の「解説とQ&A」の概要

 今年2019年4月から、すべての企業に対し、年10日以上付与される年次有給休暇のうち5日を時期を指定して消化させることが義務付けられます。

 この制度の実務上の取扱について、昨年年末に厚労省が「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説」と題してリーフレット形式で解説とQ&Aを発表しましたので、ご紹介します。

ア.法令など制度の解説

 今回、導入された「制度の解説」や、「時期を繰り上げて付与している場合の取扱い」等は、以前、当事務所ニュースの2018年9月号、11月号で概要をお知らせしておりますので、割愛させていただきます。

 

イ.年休を管理しやすくするための方法

 入社日が人それぞれ異なる場合、年休の発生日はバラバラになってしまいます。
リーフレットでは、入社日に関わらず、基準日を月初や給与計算期間の初日に繰り上げる方法を例として挙げています。
従業員数の多い事業場でについては、毎年4/1などに全従業員に一斉に繰り上げて付与する方法を例示しています。

 

ウ.年5日の確実な取得のための方法

 制度の対象となる従業員に確実に年5日を取得させるため、リーフレットでは、年間、月間などで「年休取得計画表」を作成する方法や、「計画年休」制度の活用等を例に挙げています。
このほか「基準日から半年等、一定期間経過したタイミングで使用者が年休取得日を指定する」方法や、「過去の実績からみて年休取得日数の著しく少ない従業員については基準日の時点で使用者が年休取得日を指定する」といった方法を例に挙げています。

 

エ.年休時季指定制度Q&A

 リーフレットの後半では、「よくある質問」として17件のQ&Aが掲載されています。
以下、そのうち一部を要約してご紹介します。

 ※リーフレットのQ&Aの番号のとおりですので、一部欠番が生じています。詳細は厚生労働省ウェブサイト等にてリーフレットをご参照ください。

Q1.制度開始前に10日以上付与した場合、年休時季指定義務が発生するのか

 2019年4月より前に年次有給休暇を10日以上付与する場合は、使用者には年5日の年休時季指定義務は発生しません。2019年4月以降、最初に年10日以上の年休を付与する日から、義務が発生します。

Q2.2019年4月1日入社時に10日付与する場合は、いつから義務が発生するのか

 この場合は4月1日に時季指定義務が生じます。前倒しで付与する場合は、前倒し付与日が基準日となります。

Q3.使用者が年休取得時季を指定する際、半日単位の年休として差し支えないか

 時季指定にあたり、従業員の意見を聴いた際、半日単位での年休取得の希望があった場合は、0.5日単位で取得することとして問題ありません。
また従業員自ら半日単位の年休を取得した場合、取得1回につき0.5日として時季指定義務の日数5日から除くことができます。

※ 時間単位の年休については、使用者による時季指定の対象とならず、本人が申し出た場合も、時季指定義務の日数5日から除くことはできません。

Q5.前年度からの繰り越し分の年休を取得した場合は、その日数分を時季を指定すべき年5日から除いてよいか

 このような取り扱いも可能です。実際に取得した年休が前年度繰り越し分か、当年度付与分かどうかは問われません。

Q6.会社独自に法定外の年次有給休暇を設けている場合、その取得日数を時季を指定すべき年5日から除いてよいか

 法定の年次有給休暇と別に設けられた特別休暇の日数については、時季指定義務の日数から控除することはできません。(時効となった年休を引き続き取得可能とする等、「法定の年次有給休暇に上乗せして付与する場合は控除可能」と回答しています。)

Q7.法定休日でない所定休日を労働日に変更し、当該労働日について、使用者が年休として時季指定することは可能か

 このような取り扱いは「年休取得促進につながっておらず、望ましくない」としています。

Q8.出向者については、出向元、出向先どちらが時季指定義務を負うのか

 「在籍出向」の場合、出向元、出向先、出向労働者3者間の取り決めによります。
「移籍出向」の場合、出向先において年10日以上の年休が付与された日から出向先に時季指定義務が生じます。

Q9.年5日の取得ができなかった従業員が1人でもいたら、罰則が科されるのか

 法違反を問われることになりますが、「労基署の監督指導において、法違反が認められた場合は、原則としてその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図っていただくこととしています。」とのことです。

 ※ 時季指定義務違反への30万円以下の罰金等が科され、対象者1人につき1罪として取り扱われます。

Q10.使用者が年休の取得時季を指定するだけでは足りず、実際に取得させることが必要か

 実際に基準日から1年以内に年休を5日取得していなければ、法違反として取り扱われます。

Q11.年休の取得を本人が希望せず、使用者が時季をしていしても本人が拒否した場合、使用者の責任はどこまで問われるのか

 本人が自らの判断で出勤し、使用者がその労働を受領した場合には、年休を取得したことにならないため、法違反を問われることになる、としています。

Q13.休職している従業員についても、年5日の年休取得時季を指定する義務があるのか

 例えば基準日からの1年間について、それ以前から休職しており、期間中に一度も復職しなかった場合など、使用者にとって義務履行が不可能な場合には、法違反は問われません。

Q14.年度の途中に育児休業から復帰した従業員等に対しても、年5日の年休を取得させる義務があるのか

 年5日の年休を取得させる必要があります。ただし、年度の残りの期間の労働日が時季指定すべき年休の残日数より少なく、年5日間を取得させることができないときを除きます。

Q17.管理監督者に対しても、年5日の年休を取得させる義務があるのか

 年5日の年休を取得させる必要があります。管理監督者も義務の対象となります。

 

 

以上、厚労省のリーフレット「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説」の内容をご紹介いたしました。実務上は、計画年休制度等により業務への影響を極力抑制していく必要があるかと思われます。詳細はご相談ください。(塩澤)

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